いつもいつも、幸村くんのお見舞いに行くたび。
私の心のもやもやは募るばかりで何も解決策を生み出してはくれない。
こんな風に自分の考え方に、憂鬱になっているようではダメなのに。
しあわせ未満 1
「こんにちは。」
幸村くんの病室に入ると必ず目が行くもの。
テニス部員からのお見舞いの品。
それを視界に入れないようにして、私は幸村くんにお見舞いの品を渡す。
「いつも悪いね。」
「全然、体調はどう?」
「特に変わりは無いよ。」
「そう。」
いつお見舞いに来てるか?
テニス部のメンバーと会わないよう出来る限り彼等を避けて。
何故避けているのか?
それは、彼等と幸村くん、私と幸村くんとの距離の差を、
出来る限り感じないようとする自己防衛。
「?」
「あ、ごめん。ぼーっとしちゃって。」
「いや・・・大丈夫?」
「うん。なんだか病院にまで来て幸村くんに心配かけてごめんね。」
心のどこかで焦りを感じているのだ。
付き合い始めてすぐ幸村くんが倒れて。
私はとてもじゃないけど、彼等の間に入り込む隙など無いことを思い知った。
私が幸村くんを見続けてきた3年間と、
彼等が付き合ってきた3年間。
数字は同じでも重みが違いすぎる。
私が「彼女」として付き合い始めてからは、まだ数ヶ月しかたってないのだ。
学校のことや、最近の私のことについて、とりとめも無い話をして、私はすぐ帰る。
「じゃあ、私そろそろ帰るね。」
「うん、気を付けて帰ってね。」
「大丈夫だよ。まだ外明るいもの。」
「それ以外もは心配なんだから。」
「酷いなぁ。」
「でも、本当に気を付けて。」
「はーい。」
一体「彼女」なんていうポジションにどれ程の重みがあるんだろう。
彼のあの笑顔を見た瞬間。
幸せで十分に満たされるはずなのに。
そんなのは一瞬に過ぎない。
幸村くんの病室を出て、病院の出口に向かう。
「?」
呼ばれた瞬間。
心臓が止まるかと思った。
「・・・真田くん。」
と、柳くんと切原くん。
「幸村の見舞いか?」
「うん、そう。」
「もう帰るのか?」
「ちょっと用事があってね。」
そう柳くん君に答える。
ジロジロ見られる視線に耐えかねて、
急いでるから、とそれだけ伝えて急いで病院を出た。
「・・・。」
「柳先輩?」
「いや、何でもない。行くぞ赤也。」
「幸村、見舞いに来たぞ。」
「あれ・・・もしかしてに会った?」
「ああ。」
「そうか、困ったな。」
「何がだ?」
まったく意味がわかない、という顔の真田。
「あまり元気そうではなかったな。」
柳は多少なり事情を察しているようだから、
この際はっきり言っておくべきだろう。
「は多分避けてるんだよ。」
「やはりな。」
「なんだ蓮二?」
「でなければ同じ病院にこうも見舞いに来ている同士が会わないはずが無いだろう」
「でも、何でッスか?」
俺だって何か確信があるわけじゃない。
だが、が部員達を避けているのは間違いない。
「俺に気兼ねしているのが、多分第一だろうな。」
そして、俺には言わない。
「はどちらかというと思い詰めるタイプだからな。」
柳の言葉に頷く。
近いうちに話をしなければならない。
が部員に対して嫉妬しているとかそういう類なら、
こう深刻でなかったかもしれない。
それに、はそういうタイプじゃなく、むしろ関係にごだわらない。
付き合った期間は短くても、のことはちゃんとわかっているつもりだ。
もちろん、「つもり」でしか無いのだけれど。
病院から自宅への道を走りながら。
今日の私の不可解な態度を彼等がどう受け取るかについて考えていた。
本当は用事なんて無い。
ただ彼等が部活を終えて病院へ来る間に、私は病院を出ればよかったのだ。
こんな風にテニス部が予定より早く終わるなんて、
私のいっぱいいっぱいの頭では思いつかなかった。
家に付いて、走ってきた汗と病院での冷や汗で張り付いた服を脱ぎ捨てた。
そのままお風呂に入って、夕食も食べずにベッドに飛び込んだ。
よくあることだ、こんなこと。
ただ今日は無いと、そう思っていただけ。
○意味がわからない、初ゆっきー、しかも初書き立海夢なのに・・・
意味不明連載ってどうよ・・・<要リハビリ
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