対等契約
20
「でも、の前に出来たあの壁は赤かったよね。」
アルビオールの中では、先ほどの出来事で大盛り上がりだった。
あたしの音素の話・・・。
「バリアみたいだったから、第七音素だと思ったのだけど・・・赤・・・第五音素かしら?」
「でも、炎では無かったのですわよね・・・。」
「ま、まあまあ。何でもいいよ、緊急時だったから飛び出たのかもしれないし。」
それに、今はそんな悠長なこと言ってられる時じゃない。
「ふむ、時間が出来れば色々実験したいところですが。」
「じ、実験・・・。」
「でも、とてもあたたかい光でしたね・・・に良く似合っている。」
「・・・そう・・・かな?」
何だか照れる、まあ、使ったのは「彼女」であたしじゃ無いのだろうけど。
シェリダンでは漆黒の翼に会った。集会場でほほえましい喧嘩(?)を拝見後タタル渓谷へ。
懐かしい景色に、一番最初にここに来た時を思い出す・・・。
「前来た時は夜中だったものね。」
という発言にみんながチヤホヤしているのを微笑ましく見ていると、
「だー、もうも一緒だったっつーの。」
「まぁ、まで!」
「隅におけないじゃん、ルーク。」
何だか余計墓穴を掘っているようにしか見えないけど・・・。
「まあまあ、そんな話はいいからちゃっちゃと測定しちゃおうよ。」
「の言うとおりだわ、ほら、行きましょう。」
「にとっても、ここが始まり・・・になるのか?」
「・・・そうね、あたしにとっても、ここが始まり・・・か。」
飛ばされて来た時から、別段帰ることなんて気にしたことも無かった。
今もそれは変わらない。
1つ変わったことは、何をすればいいのかわからず、困惑していた状況から、一歩進めた・・・。
そう思う、そして、また一歩、踏み出さなければ・・・。
途中、ミュウウイングゲットで、みんなの子供らしい一面を見た、というか・・・。
「おや、はいいんですか?」
「あたしですか?まあ機会があれば。」
そんなことを言いながら先に進めば、例の蝶々。
「・・・アニス、危ない・・・!」
飛び出して、手を掴む、ティア、ガイも続く。
無事助けることが出来て、ガイもほっとしただろう。
「こういう緊急時から、少しずつ取り戻していければ、それでいいんだと思う。
無理はしなくていいのよ、きっかけさえ、無駄にしなければ・・・ガイなら大丈夫ね。」
余計なお世話かも、と笑う。
「いや、ありがとう、。」
久しぶりにイオンと手を繋いで歩く。ピクニック気分で奥に進むと、何か・・・居る?
ユニセロス・・・あたしとティアで障気を含む第七音素を半分にしてるっていっても、
総合量は同じだ・・・!って、考えてる暇も無く襲ってくるユニセロス。
大佐とティアの譜術をメインに、あたしは後ろに回りこむ。
可哀相だから本当は殴りたくないけど、甘いことは言ってられない。
とりあえず気絶させて、ミュウに話をしてもらう。
「ユニセロスさんは、ティアさんとさんが障気を吸っていると言っていますの。」
「・・・ティアだけならクリフォト生まれ・・・というのと関係有るかもしれませんが。
も・・・となると・・・。ふむ・・・。」
大佐は察しが良いから気付いたのだろう。
丁度そのタイミングでユニセロスが去って行って、この話はそこで終了。
先に進んで、イオンに扉を開いてもらう。
中に入って仕掛けを解いて、ティアが前に出るので、くっついて前に出る。
起動させたパッセージリングを操作する。
それから計測を済ませてシェリダンへ。
タルタロスの準備には時間がかかるようなので、町でゆっくりすることに。
バチカルに行く・・・のはナタリアの心の準備が整ってからだ。
あたしたちはとりあえず宿屋に向かった。
あたしは、アッシュとナタリア、ティアとルークの話は聞いているわけだし。
おとなしくさっさと布団に入った。
ローレライでも、「」でも、どちらでもいいから連絡を取りたかったのだ。
結局、あれ以来連絡の取れない「」は今回もダメ。
繋がったのはローレライだった。
「ねぇ、ローレライ・・・あたし貴方には沢山聞きたいことがあるんだけど・・・。」
「・・・何だ。」
「あたしが、貴方と契約したってことは、一応納得したの。
でも、契約の内容がどうしてもわからない・・・そもそも、何故あたしは貴方と契約出来たの?」
「」が契約したということは、あたしが契約したということ、と考えるとして。
じゃあどうやって契約なんて出来たんだろう?
契約の内容は・・・?
「・・・契約の内容は、お前の最も愛する者を救うためのものだったはずだ・・・。
私がお前と契約を交わしたのは・・・お前がユリアの・・・。」
「・・・ッ・・・。」
一番肝心なところで、あたしは激しい頭痛に耐え切れずに目を覚ました。
ルークじゃないんだから、アッシュが近くに居るから、でも無いだろうし。
ローレライとの接触のせいなのだろうか・・・それとも「」に関係が・・・?
でも、何だか色々なことがいっぺんに開けた気がした。
・・・「」・・・貴女の最も愛する者というのは・・・もしかして・・・。
それに・・・ローレライの最後の言葉・・・あたし、否、「」は一体ユリアとどんな関係だったんだろう。
何だか話が漠然として、大きすぎてわからない・・・。
どうやら、ベッドを見れば、ルークもティアもナタリアも寝息をたてている、多分、もうみんな戻ってきた後なのね・・・。
良かった・・・何だろう・・・良かったって、そう思う自分に苦笑する。
そっとベッドを抜け出す。
もう日が上がりかけだ・・・。
「?」
「うわ!・・・び、びっくりした・・・イオン。どうしたの?」
「もう起きていたのですが、出て行くのが見えたので。」
「そっか・・・。」
水と光。キラキラと輝くもの。空。
ここにはこんなにも、綺麗なものが沢山ある。
「ねぇイオン、あたし・・・あたしいっぱい隠し事をしているわ。
なのに、みんな何も聞かずに、一緒に旅を続けてくれる。
もちろん、人に秘密があるのは当然よね・・・でもあたしは・・・。」
本当は、何よりもまず最初に、知っていることを全て吐き出してしまえば良かったのに。
ここまで、こうして来てしまったあたし。
「・・・辛ければ、今からでも・・・話してしまえばいいのでは無いですか?
僕は・・・皆がそれで貴女を否定することは無いと信じています・・・。」
「ありがとう、イオン。あたしもそれはわかっている・・・つもりよ。」
「貴女は強いのかもしれません、でも、同時にとても弱い。
は・・・時々酷く辛そうに見えますから・・・。」
そう言うイオンに、あたしは項垂れた。
来てすぐのころのほうが、もっと虚勢を張っていられたのに、可笑しいな。
「大丈夫よ・・・あたしは、大丈夫。」
イオンに言うでも無く、自分に言うでもなく、ただそう呟いた。
結局、そのまま二人で宿に戻って、おとなしくベッドに入った。
ナタリアの決心もつき、ついに次の日バチカルに、イオンの名前を出して国王の元へ。
こういうとき、イオンって本当に・・・かっこいいなぁ、って思う。アニスも。
二人とも、きちんと心構えが出来ている。
みんなの話に、もはやあたしは口を出す必要なんて無い。
「またまた、随分大人しくしていましたね、。」
「・・・大佐・・・あたしがいつも煩いと思ってるんですか?はぁ・・・。」
「・・・いいえ、あなたらしく無いと思っただけですよ。」
あたしは苦笑する。
全ては、あたし無しで動いていく、動いていけるのだ。
陛下との和解も済んだ。これで、ナタリアも安心だ。
ルークや、イオンの言葉に心を打たれた・・・。
「親子・・・か。」
「ん、どうしたの?」
「ああ・・・ううん。親子の関係って、素敵だな、って思っただけよ。」
アニスが首を傾げる。
「何その客観的な言い方。」
「あはは、あたしには、そういう関係は無かったから、ね・・・。」
『気持ちの悪い子・・・まったく可愛げも無いのだから。』
『お望みどおり出て行きます、お世話になりました・・・さようなら。』
「そう、なんだ・・・ごめんね。」
「え・・・?ああ、いいのよ別に。アニスが気にすることじゃないわ。」
「は孤児院で育ったんだよな、確か。」
「・・・そうよ、ガイ。最も、そう長く居ないで、出て行ってしまったけれど。」
「そう、なのか。」
あたしは苦笑する。
お金だけ残されても、何一つ嬉しくなってなかった、そんな懐かしい記憶。
懐かしくて、憎らしい・・・記憶・・・か。
次はグランコクマということで、ピオニー陛下のところへ。
平和条約締結の場をユリアシティにするとして、飛行譜石を取り戻しにダアトへ向かうことに。
ディストの手紙は無視して、トリトハイムさんに話を聞くと、ディストが戻って来たのは間違いない。
いかにも、な兵士達をさっさと片付けて、ライナーさんのところへ。
彼には悪いけど、ちょっと眠っててもらうことにして、飛行譜石をゲット。
「本当は、無関係のライナーさんが可哀想よね・・・後でディストにいじめられるかも・・・。」
「ディストはケテルブルクで凍っているでしょうから、まぁ大丈夫ですよ。」
「・・・まぁ、血を流すことにならなかっただけ、マシってことで・・・。」
外に出ると、イオンの提案でケセドニアのアスターさんのところで。
見かけによらず、良い人なのよね、本当に。
後のことはノエルにお願いしてアスターと話をつける、ノエルが戻って来るまで宿屋で休むことに。
ルークがティアと話をしているようなので、あたしは食堂でお茶を貰う。
ついに平和条約締結まで来たんだ。
大丈夫、あたしはちゃんとわかってる。
ローレライも、ユリアも、「」も、関係無い。
あたしはあたしで、必ず、果たしてみせるわ・・・。
でも、何かを否定するつもりは無い、ましてや「」・・・貴女はあたしなんだから。
会って、というかちょっとしか会話してないけど、はっきりと声を聞いて何故か確証を持った。
「」はあたしなんだ、と・・・何故か・・・そう感じ取ったのだ。
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2006/2/10
攻略本を確認しました、無事20話で3分の2くらいまで来れたと思いますが。
ここからが捏造の嵐、本番ですので(笑)30話では終わらない予感がしますorz
しかし、いい加減ダラダラしてきたので、少々飛ばし気味に行こうと思います・・・。