対等契約 単発夢
君の味方
急いで地上に上がらなければいけないが、準備は済ませなければいけない。
ユリアシティで大佐がテオドーロさんと話しをしたり、みんなで準備をしている時、
ルークに肩を叩かれて振り返る。
「どうしたの?」
「・・・その、話があるんだけど・・・。」
そう口ごもるルークにあたしは首を傾げた。
「いいよ、何?」
ネビリム先生のことはこないだ話が済んだし。
もしかしてティアとのことかな。
あ、もしや大佐に叱られたこと?
あたしは思いつく限りを想像する。
「ちょっと、ここじゃ・・・。」
「?」
キョロキョロと周りを見て、ルークはあたしの手を取って町の入り口に。
「どうしたの?」
「さっき、さ・・・にも話したいことがあったんだけど。」
お前さっさと行っちゃうから、と言われ苦笑する。
「ごめんごめん。」
まあ、その方がいいだろうな、と独断と偏見でやったことだから。
言い訳をするつもりは無いのだけれど。
「で、何か相談事?悩みでもあるの?誰かに苛められた?」
今度はルークが苦笑する番だ。
「違うんだ、ただ・・・に謝りたくて。」
「え?」
あたしは驚いてルークを見つめた。
謝られるようなことが、あっただろうか?
「ティアとも話したけど、も俺のこと本気で怒ってくれて・・・いや、心配してくれさ。
アクゼリュスの前も後も、みんな呆れてたのに・・・声かけてくれて。」
嬉しかった。
そう言われたとき。
ごめん、。
そう言われた時。
うっかり涙が零れそうになった。
「あと、ありがとう・・・。」
「・・・。」
「?」
黙ったあたしを、ルークが見下ろす。
あたしは合わせる顔が無くて、俯くことしか出来ない。
「俺・・・何か変な事言ったか?」
困って尋ねるルークに。
「違うの。」
と呟く。
「嬉しいのと悲しいのとごちゃごちゃなの。
・・・ごめんね、顔見せられないから先に・・・。」
先に行ってて、と言おうとしたら。
ふわりと、温かい体温。
ギュっと背中に回された手。
「ちょ、ルーク・・・!」
「これで見えない。・・・いつも泣きそうな顔ばっかりだから・・・。」
「ごめん・・・。」
ルークは何も言わなかった。
あたしは甘えてはいけないと、心の中でわかっていても、
それを実行できるような人間ではなかった。
「ルーク・・・あたし、秘密があるの。」
「うん。」
「本当はね、今、ううん、ずっと前から話さなきゃいけないことだったと思うの。」
「うん。」
「でもね、今も、これからも・・・当分話せないと思うの。」
・・・話せるとき、多分それは・・・。
・・・。
・・・考えたくも無い。
「本当の事を言えば、俺はに全部話して欲しい。
でも、が言えるようになるまで、聞きたくないのも本当なんだ・・・。」
人間の二面性。
「が・・・泣かないで済むなら話して欲しいけど・・・。
が話して、泣くなら、話して欲しくない・・・って、何だか滅茶苦茶だな。」
そう苦笑するルークに。
「そんなこと無いよ。」
と、くぐもった声を出す。
ルークの胸に顔を押しつけているから、自分でも変な声だとわかる。
泣いたせいでもある。
「凄く、有り難い・・・そんな風に言ってもらえて、凄く嬉しい。」
この先、もし、あたしが全てを喋って。
そして、全てが残酷な結果になったとしても・・・あたしは・・・。
「が何を言っても、俺はの味方だから。」
「ルーク!」
それは違う、と言おうとした。
でも、あたしの発言は制された。
「はずっと、俺の味方をしてくれてた・・・はそのつもりはなかったかもしれない、
けど、俺は・・・それが、どれだけ嬉しかったか、って今更気付いたから・・・。」
だから、俺はの味方をする。
「・・・。。」
「まだ泣くのか?」
ルークがそっと頭を撫でてくれるのに、あたしは苦笑する。
18年生きてきて、頭を撫でられたことなんてこれが初めてだ。
それも、中身は7歳のルークに。
その手が温かくて、優しくて。
とても、愛しかった。
あたしはルークがすきだったのかもしれない。
だった、ていうののが変だけど。
でも、何かこの方がしっくりくるような気がした。
「・・・もう、大丈夫。」
遅めの返事をして、目をゴシゴシ擦って、顔を上げる。
多分、赤い目で、いかにも泣きはらした顔、だと思う。
「良かった。」
そう笑うルークの、無邪気な笑顔に、あたしもつられる。
もうすぐみんなもここに来るだろう。
アルビオールで外殻へ向かうために。
あたしもずっとルークの味方でいるよ。
味方なんて、変な言葉だけれど。
例え何があっても、どんなことになっても・・・あたしは・・・。
死ぬのだって怖くない。
悪魔に魂を売ってだって、あたしは貫いて見せる。
貴方ひとりに・・・怖くて、辛くて、悲しい思いはさせないから・・・。
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2005/1/23
本編でもルークのこと好き(恋愛というより、姉というか母のような視点で)なヒロインですが。
まぁ、結局はティアとルークがくっついたとしても、多分、この姿勢は変わらない、という感じの夢です。
意味不明ですが、これは本編とは関係無い、もしもシリーズですので(笑)
本編はどうなっていくのやら、という感じです・・・!